軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「自由に焦がれながら、絶望の中で死んでいくのかしら」


 この神殿から出ることは民や神官が許さない。先代の聖女たちが辿ったように、自分もここで一生を終えるのだろう。フェンリルの望んだとおり、奪われた自由にセレアの心が枯れていくのは時間の問題だった。




 獅子神への祈りの時間を終える頃には、太陽が天頂を通過した後だった。

セレアは昨日、浜辺で倒れていた男の分の食事をこっそり厨房で作り自室に戻ってきた。


 炊事担当の小務官が作った食事をくすねることもできたのだが、目覚めてすぐに常食では胃もびっくりするだろうと思い、薬草を混ぜたお粥を作ることにしたのだ。

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