軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「急ぎ、国境付近及び海兵へ知らせを出しましょう。国外から出る前に、皇妃様の身柄を保護させます」
すべてを話さなくとも、君主の考えを悟ったべリエスは有能な軍事司令官だ。レイヴンの求める答えを並べて、颯爽と執務室を立ち去る。
「まさか、カエトロ―グ島の神官に連れ戻されたんじゃないか?」
真っ青な顔で動揺したように言うアグニに、「なに?」と肩眉を持ち上げて聞き返した。
「あの島で巫女は、神に次ぐ存在として崇められる。あの大神官が簡単にあきらめるはずがないんだ。そうだきみ、伝言を頼んだ使用人の顔は覚えているかい?」
突然話を振られた侍女は瞬きを繰り返しながら、首を縦に振る。