軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「髪や瞳は、アグニ様のように茶色に近い色をしておりました。あとは……あっ、額に傷があったように思います」


 それを聞いたアグニの顔はさらに青白くなった。あの島の人間にとって、大神官の影響力がどれほど大きいのかを知る。


 思い当たる節があるようなアグニの目に、心臓が嫌に騒いだ。


「カエトロ―グ島の神官兵です」

「……そうか」


 じっと、耐えるようにそれだけ答えた。


(まだ、セレアをあきらめていなかったのか)


 だが大神官の操り人形にするつもりも、あの島の人柱にするつもりも毛頭ない。この手で攫い返すまでのことだ、と自分を鼓舞する。

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