軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「俺は相手が大神官だろうと、神であろうと逃げも隠れもしない」
(セレアは、俺のものだ)
彼女の強く揺るがない瞳に惹かれてから、絶対に手に入れると決めていた。妻にしてからは、この手で守り抜くと誓った。
「これから先も共に歩み、死ぬ瞬間すら共にありたいと願った女だ。簡単には奪わせん」
一見落ち着いているようにも見えるレイヴン。だが声の端々には、抑えきれない怒りの爆ぜる音が聞こえてくる。
胸の中にあるのは皇帝としてではなくひとりの男として、セレアの夫として、彼女と生きる道をあきらめないという誓い。
(だから俺は、お前を攫い返す)
瞼を閉じて、愛しい銀髪とサファイアの瞳を思い出した。
「行くぞ」
腰に差した剣柄に手を添えて、守るべき者の姿を心に刻む。
そして、レイヴンは執務室の出口へと強く一歩を踏み出した。