軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
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目が覚めた瞬間、すべての視界を閉ざしてしまいたいほどの絶望にセレアは駆られた。
白亜の天井に壁、大理石の床。セレアがいたのは、獅子神のいる楽園だった。
眠らされる前の記憶の糸を手繰り寄せると、連れ戻しに来た神官に薬を嗅がされたことを思い出し、かろうじて状況を理解する。
けれど、心が認めたくないと嘆いていた。
「ああっ、ついに戻ってきてしまった!」
両手で顔を覆い、ぶわっとあふれる涙もそのままに声を上げる。そんなセレアのに腕に、柔らかな毛並みが慰めるように触れた。
「あなたは、獅子神!」
白い体に赤い瞳の獅子がこちらを見つめている。その右足には足枷がつけられており、瞬時に自分を逃がしたせいだと察した。