軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
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「待て、愚かな信者どもよ」
セレアの肌を今にも切り裂こうとしたナイフが鈍く光ったとき、礼拝堂に響く凛とした声。カツ、カツッという靴の音が近づき、皆が礼拝堂の扉の方を振り返った。
そこには、ローブの頭巾を深くかぶった長身の男の姿がある。
「ああっ」
(私は夢を見ているのかしら)
その声を聞き間違うはずがない。思わず上げた歓声に、頭巾の隙間から見えた彼の口元が不敵に笑う。
「どんなに無謀で許されない願いでも、俺がこの命を懸けて叶えると言った」
(それは、あなたが私を自由にしてくれた日の誓いね)
忘れるはずもない、彼が孤独な運命を変えてくれた。