軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「ええいっ、神に愛された民たちよ、戦うのだ!」


 信じられないことに、フェンリルは民まで戦わせようとする。それを見たレイヴンは、苛立たしげに舌打ちをした。


「君主の器ではないな、お前は」

「なんだと!?」


 レイヴンの言葉に激怒するフェンリルだったが、すぐに様子がおかしいことに気づく。そう、あれだけ大神官を盲信していた信者たちが動こうとしないのだ。


「さて、偉大なる大神官殿はお気づきだろうか」


 レイヴンの表面上の賛辞には、皮肉が込められていた。神経を逆撫でされたフェンリルは、怒りに目をひん剝く。


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