軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「ずっと待ってた……あなたのこと」


 その答えに満足したのか、十字架に括りつけられたままのセレアの唇に掠めるような口づけをする。


 そして、数歩下がったレイヴンが剣を横に振るうと、見事に鎖だけが断ち切れられた。


 自由になった途端に、前のめりに落ちていく体。衝撃に耐えようとギュッと目を閉じるセレアだったが、心配は杞憂に終わった。力強い腕に抱き留められていたからだ。


「やっとこの腕の中に帰ってきた」


 ほっと息を吐き出しながら告げられたその言葉は、愛しさとほんの少しの切なさを含んでいて胸が締めつけられる。


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