軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「あの?」


 思考の世界からなかなか現実に帰って来てくれないので、セレアから声をかける。


「別に、どこにでもいる名前だろう」


 ぶっきらぼうな答えが返ってきて、彼は褒められて照れているのだと思った。


(素直じゃないのね、きっと)


 自身を拘束する男を仰ぎ見て、緩む顔を隠しきれないセレア。


 それを見たレイヴンが毒気を抜かれたように目を見張り、ゆるゆると手首の拘束を解いてくれたので体を起こす。


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