軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「俺の服はどこだ」

「あっ、乾かしていたんです。どうぞ!」


 部屋干ししていた軍服を手渡すと、彼は信じられないことに生まれたままの姿で寝台を出た。裸足で床の上に立ち、目の前に仁王立ちしている男を見てぎょっとする。


(目の前にはだっ、裸……)


 頭が真っ白になり、しばらく呆けて立ち尽くしてしまった。その間にも彼はその場で堂々と着替え始る。布擦れの音に心を掻き立てるような焦燥感を感じた。


 軍服の装飾がカチャリと鳴った音で、ハッと我に返る。


「わわっ」


 慌ててくるっと背を向けて、ドクドク脈打つ心臓が少しでも静まるように胸をおさえた。


< 31 / 281 >

この作品をシェア

pagetop