軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「あ、あなたの服は私の幼馴染が脱がせました。もちろん男ですので、ご安心ください」
顔を両手で覆いながら早口で答えるセレアの耳に届いたのは、「俺はどちらでもかまわんがな」という節操のないレイヴンのひと言だった。
「着替え終わったぞ」
彼の声にほっとしたセレアは、顔から手をどける。レイヴンは平然と寝台に腰かけて、襟元を直していた。そのしぐさに妙な色気を感じて、心臓がキュッと締めつけられる。
(なんだか、この短時間でどっと疲れた気がするわ)
なのに当人はいたって平静で、ひとりで慌てているのが恥ずかしくなった。
自分の部屋なのに落ち着かず、しばらく寝台と扉までの対して長くもない距離をウロウロと往復する。床が擦り減るんじゃないかと心配になるくらい繰り返した。
歩きながらふと、彼に意識していることを悟られるのが嫌になったセレアは、悩んだ末になるべく自然な動作で彼の隣に座るよう努めた。