軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


 そんなセレアを見たレイヴンが、ふっと笑った気がした。弾かれるように彼の横顔を見上げたが、それは瞬きのように一瞬で消えてしまう。


 残されたのは、笑顔とはかけ離れた無表情だった。


(あれは、私の見間違い?)


 問い詰めることができず、奇跡のような一瞬の表情を思い出そうと彼を見つめる。そこで、セレアはあることに気づいた。


「あなたの瞳は……太陽に透けた髪色とお揃いなのですね」

「それがどうした」


 面倒そうな彼の声に怖気づきそうになりながら、勇気を振り絞って口を開く。


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