軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「こんなに綺麗な紫の瞳を見たことがなくて、珍しく思ったのです」


 セレアがレイヴンの頬に手を伸ばすと、スッと顔を背けられてしまう。それを残念に思いながら手を引っ込めると首を傾けて苦笑いを浮かべた。


「ごめんなさい、島の外の人間が珍しくて」

「ここは鎖国しているからな」


 表情を動かさずに淡々と答えるレイヴン。相当警戒されているのが、彼の視線や態度からヒシヒシと伝わってきて寂しくなった。


(私はただ、お話ししてみたかっただけなのに)


 武術に心得のない女に、なにができるというのだろう。どうにか、彼を安心させる方法はないだろうかと頭を悩ませる。

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