軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「絶対にこの部屋を出ないで。あなたの体がよくなったら、船を用意します。それでこっそりと国にお戻りください」
神殿の裏手にある砂浜から、幸いにも海に出られる。あとは船だが、こちらは海域の警備に使うものが沖にいくつか止まっているので用意できそうだ。
彼の負傷も擦り傷程度で、低体温が解消された今となっては十分な休息と食事さえ摂ればすぐにでも回復できる。
なんにせよ、早々にこの島から出た方が彼のためになるだろう。
「神の島なんていいながら、物騒な国だな」
「ええ、ここには神などいません。いるのは民の信仰心を利用した欲深い大神官だけです」
胸に重苦しいものが広がり、セレナの表情に影が差す。