軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「こんな暗闇の中で動くな、怪我をするぞ」
「では、急いでロウソクを探しますね!」
ごもっともな理由で部屋の外へ出るのを却下されてしまったので、頼りないがせめてロウソクの炎でも部屋を照らせないかと手探りで棚を探す。
「おい、危ないからじっとしていろ」
「大丈夫です。こういうのは初めてではないので、小さなロウソクが引き出しの中に……」
彷徨う手が棚に触れると、しゃがんで引き出しの取っ手に手をかける。その瞬間、ガラガラガッシャーンッという大地を劈くような雷の音が響いた。
「きゃあっ」
両耳を塞いでぎゅっと目をつぶり、しゃがみ込む。その場から動けず震えていると、セレアの肩に誰かの手が乗った。
「落ち着け、大丈夫だ」
「レイヴン……」
その低くも柔らかさを帯びた声は、紛れもなくレイヴンのものだった。視界が悪いぶん、聴覚が敏感になっているせいか、彼の声がこんなにも優しかったことに今初めて気づく。