軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「音は大きく聞こえたかもしれんが、まだ遠い。この神殿には落ちないだろう」
そう言われて、セレアは恐る恐る耳から手を外した。涙が滲む瞳を側らで膝をつく、彼の方へと向ける。月明りも手伝って部屋の薄暗さにも目が慣れてくると、彼の顔に困惑が浮かんでいるのが見えた。
「泣くな、俺は女の慰め方なんか知らん」
戸惑うように伸ばされた彼の無骨な手が、セレアの華奢な体を引き寄せて抱きしめる。与えられる不器用な優しさに、息が詰まるほど胸が熱くなった。
ふたり身を寄せ合っていると、窓の外から激しい雨音と雷鳴が轟く。そのたびに強張るセレアの背をレイヴンはあやすように撫でてくれた。