軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「嵐が過ぎ去るまで、いや……朝日が昇るまでこうしていよう」
「ありがとう、レイヴン」
(なんて温かいの……)
ずっと孤独に一生を終えるのだと思っていた。なのに今は、こうして誰かの温もりに包まれている。彼の存在は、セレアの心に光を灯してくれていた。
「そのままでいい、聞いてほしいことがある」
しばらくお互いの体温を分け合っていると、レイヴンがぽつりと呟いた。セレアは「はい」とそれだけ答えて、彼から放たれるだろう言葉に神経を集中させる。
「船の準備ができ次第、俺は国へ帰る」
「っ……そう、ですね」
(寂しいなんて、思ってはだめ)
この日が来ることは前からわかっていたことじゃないかと、引き留めてしまいたい気持ちを必死に落ち着けようとする。