軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「え……んん!」


 吐息ごと食らいつくように重ねられる唇。驚きと息苦しさに逃れようとするも、レイヴンの大きな手に後頭部を強くおさえつけられ、抵抗できない。


「セレア……」


 一瞬、唇が離れて名前を囁かれる。酸素を求めるように口を開けば、今度は角度を変えて口づけられ、口内を舌でなぶられた。


 自分の内側を侵食してくる感覚に、すべてを解き放ってしまいたい衝動に駆られる。けれどすぐに聖女という立場が脳裏にチラついて、勢いよく顔を横に背けた。


「はあっ、なにを、なさるのですか!」


 目尻に涙をためて、レイヴンを睨みつける。だが彼はおかまいなしに顔を近づけてきて、セレアの涙を唇で舐めとった。


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