軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「しょっぱいな」
「当たり前です!」
がっかりしたように舌を出す彼に、赤く染まった頬を膨らませながら声を張り上げる。
(人に顔を舐められるなんてっ)
あまりの羞恥に、心臓が爆発してしまいそうになった。
「お前のは甘い気がしたんだ」
「そんなこと、あるわけないじゃないですか!」
恥ずかしすぎて、泣いてしまいそうだった。
この沸騰するような全身の血を手早く冷やせるのなら、喜んで海にでも飛び込めるだろう。そんな正気の沙汰とは思えないことを考えてしまうくらいには、気が動転している。
なのに彼はどこ吹く風で、「そんなことより」とセレアにとっては一大事な事件を軽く流してしまった。