軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「まさか、彼女を連れていく気か?」

「そのまさかだ」


 最近見せてくれていた笑顔が、アグニを前にして一切消える。彼の有無を言せさない、君主のような彼の雰囲気にアグニも圧倒されていた。


「彼女は聖女なんだぞ」


 驚愕の表情を浮かべるアグニに、レイヴンはふんっと鼻で笑う。セレアを抱く腕に力がこもり、守られているような気になった。


「俺はこいつを聖女なんて檻に閉じ込める、お前たちの気が知れんな」

「なんだと?」


 アグニが眉間に皺を寄せて、握った拳を震わせているのが見える。


 ふたりの間に流れるピリピリとした空気に、セレアは言葉を挟めずにいた。


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