軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「獅子神、あなたに謝らなければならないことがあります」
目の前にやって来た獅子神の瞳を泣きそうになりながら見つめ返す。
セレアはこれから、聖女として一生を終える宿命を捨てる。それは同時に、この苦しみだけがあふれる世界で慰めあった唯一の味方を置いていくことになるのだ。
その選択は、心が裂けそうなほどの痛みを連れてきた。
「私はっ、この地を去ります」
しゃくり上げそうになりながら、なんとか伝えた。そんなセレアの手のひらに、彼は鼻を押しつけるようにしてすり寄ってくる。
これは、泣いているセレアを慰めるときに、いつも獅子神がしてくれた仕草だった。