軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「獅子神、ごめんなさい」


 涙をこらえながら、その大きな体に抱き着く。彼を置いて自由を手に入れようとしていることに、罪悪感がわいた。


(本当に、この子を置いていってもいいの?)


 今日という日をずっと後悔するのではないだろうか。ひとりで逃げるセレアを慰めようとする優しい子だから、なおさら自分のしたことを許せなくなる気がする。 


 でも、獅子神はただじっとこちらを見つめていた。


 ずっと一緒にいたからわかる。彼は〝早く行きなさい〟と諭していた。


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