軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「レイヴン!」
(危ないっ)
悲鳴を上げながら、ギュッと目をつむる。しかしレイヴンは、振り返りざまに剣を薙いで、神官の槍を吹っ飛ばした。
神官は「ひえ~っ」と情けない声を出して、そのまま尻餅をつく。その拍子に頭を打ったのか、気を失ってしまった。
「つ、強いのですね」
(あの鮮やかな剣さばき、レイヴンって何者なの?)
スッと無駄のない所作で剣を腰の鞘に収める彼を見つめながら、思わずじっと見つめてしまう。その視線に気づいたレイヴンが横目にこちらを見た。
「呆けている場合じゃないぞ、まだ足音が聞こえる」
「追っ手が近づいてるってことか!?」
アグニの言葉に、レイヴンはなにも答えない。ただ、鋭い視線で辺りを見渡し、神経を張り巡らせている。
警戒しているところを見ると、その言葉を肯定しているのがわかる。