軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「きみたちは先に乗るんだ!」


 杭に巻きつけられた船の停泊用ロープを外しながら、アグニが叫ぶ。


セレアはレイヴンに抱えられたまま、真っ白い外観の側面に黄金の獅子が描かれた蒸気船へと乗り込んだ。


「俺は舵を取る、お前は追手が来ないか見張れ」

「は、はいっ」


 舵のある船首へと駆けていくレイヴンとは反対側の船尾部から、ロープを外しているアグニを見下ろす。

すると、その後ろに無数のランプ見えた。


「追手が来てる!」

「ロープはまだか! これでは出船しても船に乗り込まれるぞ!」


レイヴンの言う通り船のスピードを考えれば、ここをすぐに出たとしてもさほど船着き場から離れられない。


しかもアグニが乗るまで乗降用の階段であるタラップをしまうことができないため、船つき場から飛び乗られる可能性がある。

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