軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「また、必ず会いましょう!」

「セレア、きみはどういう状況かわかって……」

「みっともなくてもいい、どんな状況でも諦めないで!」


 欲張りなことを言っているのは、わかってる。でも、アグニが生き残ることを夢物語だと諦めてしまっていることが許せなかった。


「あなたが会いに来るのを、ずっと待ってる!」


 裏返りそうになりながら、声が枯れてしまいそうなほど叫んだ。


「きみって人は……わかった、約束するよ」


 アグニが困ったように笑うのと、杭からロープが離れるのは同時だった。船は船首に向かったレイヴンの手によって出船する。


 大切な幼馴染の姿が小さくなり、ほかの神官たちに取り押さえられるところが見えて、心が壊れてしまいそうなほど痛む。


明日、世界が消えてなくなるような絶望感に、ガクンッと膝から折れるようにして崩れ落ちる。

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