軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「っ、はい。ありがとうございます」
彼の大げさすぎない優しさが、ちょうどいい。優しくされすぎると、せっかく気を強く持って前を向こうとしているのに、泣くのを我慢できなくなってしまうから。
それこそ、涙で海ができてしまうくらいに。
「見てみろ、夜明けだ」
「え?」
レイヴンの視線の先を辿ると、地平線に暁の光が顔を出している。闇をかき消すように広がる黄金。この世のなににも代えがたい、宝石のような美しさだった。
(なんて、キレイなの……)
その美しさに息を呑む。さっきまで悲しみに囚われていた心が嘘みたいに、解放されていくような感じがした。