軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「どんなに絶望的な状況でも、必ず夜は明ける。希望を失うな」


 その言葉に胸を打たれる。この人はどんなときでも前を見ているのだろう。


強い光を放ち、自分だけでなく周囲にいる者にさえ希望を与えることができる暁のような人だとセレアは思う。


「ありがとう、レイヴン」


 その肩に頭を預けてみると、なにも言わずにそのままでいてくれた。


(多くのものを犠牲に、ここまで来てしまったけれど……)


 置いてきたものに後悔するよりも、彼のように未来を見据えていたいと思う。


自由をくれた人たちのためにも、まだ見ぬ世界を知り、誰よりも幸せな生き方をしなければと思った。


 だから今は、不安に迷いが生まれないように震える心を落ち着かせるため、穏やかな波の音に耳を澄ませたのだった。


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