軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


 航海すること三日。遠くに陸がぼんやりと見えてきたところで、セレアたちはいきなり多くの船に囲まれてしまう。


 船体には大きな金の龍が描かれており、漆黒を基調としているせいか威圧感がある。


側面には鈍く光る大砲がいくつも備えつけられ、恐ろしいことにこちらを狙っていた。


「レイヴン、怖いわ」


 こんなに多くの船を見たことがなかったので、震えながら彼の腕にしがみつく。


「問題ない、お前は俺の隣にいろ」
 しかし、レイヴンは大砲を向けられた状態でも怯えることなく、船を止めて堂々と船尾に立った。


 すると、向かいの船上から柔らかな淡いベージュの髪に、モスグリーンの聡明な瞳をした男が現れる。


彼は驚くべきことにレイヴンと同じ黒の軍服を身に着けており、顎に手を当て、こちらをじっと見つめている。


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