学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「っ、れ、鈴香、ちゃん?」
ゆっくりと彼女の綺麗な顔が離れる。
今のって…。
まだしっかり唇に残ってるその感触に、思わず口元を手で隠した。
「ごめん」
鈴香ちゃんは、顔をハッとさせてから目をそらして謝る。
「えっ、」
花火の音はまだ大きくてうるさい。
周りの声が騒がしくて良かったと思ってしまう。
今、鈴香ちゃん、私になにをしたの?
ごめんってなに?
「今日の静音、すっごい可愛いから。思わず…」
思わず?
女の子同士なのに。
可愛いって思ったら、しちゃうものなの?
ドラマや本でしか知らなかった。
私の人生に奇跡が起きたとしても、好きな人とだけするものだと、異性としかありえないと思っていたこと。