学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます


アメリカの挨拶でだって、口になんかしないよ。


それなのに。


鈴香ちゃんはどうして…。



今の女子高生は当たり前なの?!


頭が追いつかない。



心臓のバクバクはどんどん増すばかり。



周りは薄暗くて、私と鈴香ちゃんのそれを気づいている人はいなさそう。



「…嫌だった?」


「…っ、えっと、び、びっくり、しました」



「うん。ごめん」


いつもの鈴香ちゃんらしくない。


いつもはそんな寂しい顔なんて見せないのに。


花火は上がり続けているのに、私と鈴香ちゃんにとってそれはもうどうでもいいことのようになっている。



「今日1日いっしょにいたけど、静音、ずっと誰のこと考えていた?」


「えっ、」


「私はずっと静音のことだけ考えていたんだけど」


鈴香ちゃんの悲しそうな瞳が私を捉えて慌てて目をそらす。


今の私は、まっすぐ鈴香ちゃんの目を見ることができない。



おかしいな。



なんなんだろう、これ。



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