学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
「ねぇ、静────」
「お!いた!緒方〜!高城〜!」
っ?!
馴染みのある声が、私たちの名前を呼ぶ声がして、ホッと胸をなで下ろす。
助かった…なんて思ってしまった。
「おっ、浴衣…」
土田くんの横で立っていたのは、会いたいと思っていた人。
「っ、ひ、柊く─────」
っ?!
まだ人混みをかき分けて、こちらに来るのに苦戦している彼の名前を呼ぼうとしたら、ギュッと繋がれていた手に力を入れられた。
「…っ、」
「綺麗だったね〜」
「また来年も来ようね」
力の入った手に驚いて後ろを振り返ると、周りの人の数がだんだんと減って行く。
気がつけば、花火は終わっていて、みんな帰る支度をしていたり、屋台のある方へ戻っていく。