囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
歓談していると部屋に風が吹いた

いや、実際は吹いていないのだが…空気が変わったのを感じた

「お祖父様が来たね…」

入ってきたのは恰幅の良い老人で

車いすに乗っているし、温厚そうな顔をしているが…
よく見ると眼光が鋭く何かを狙う力が強そうだ

さすが元大企業の総帥というところか
そして隣には小柄でとても可愛らしいご婦人が控えていた

「彰貴」

「はいお祖父様…」

彰貴さんは呼ばれて傍にあがると私も呼んだ

「そしてそこの可愛らしいお嬢さんもいらっしゃい…どうか顔をよく見せてくれないか?」

「おいで那寿奈」

「はいただいま」

すぐに早足でお祖父さんの傍に行くと
しっかりと握手をされた

「うんうん、可愛らしいお方じゃないか…しかも目が綺麗だ…那寿奈さん…彰貴を頼みますよ?」

お祖母様も静かに頷いて

「財産目当てじゃぁなければ、良いのではないでしょうか」

そんな風に言う

「お祖母さま…彼女はそんななんじゃないよ…だからこそ選んだんだから」

呆れ顔の彰貴さんだが…私はもっともな意見だと思った

「財産なんて不確かなんてものですから
それを拠り所にはしませんし、ましてや人様のものを当てになどしません…私は彰貴さんと共に居たいと思うだけです」

「那寿奈…」

私の言葉に彰貴さんは目を見開く

これは演技…けれども私の本心でもあった
財産なんて、失くす時はいっぺんだ…

「中々しっかりしたお嬢さんね?フフ…彰貴、あなた幸せね?」

お祖母さまは納得してくれたようだ





その後も次々と親戚を紹介されたが…賛成は少数
あとは不満なようだった

何より

「家柄を問う家系ではないとは言え…ある程度…ね?」

そう、私の出自に不満があるらしい

「気にすることはない。オレが那寿奈が良いんだから」

「有り難うございます…」

その事を気にした風の演技、それを気遣う演技

この場にいる者はすっかり騙されているようだった

演技をしている私でさえも…彰貴さんの甘い恋人の演技に騙されそうになるくらいだから…


< 26 / 81 >

この作品をシェア

pagetop