囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
どんどんと話を進める辻堂さんに恐る恐る話しかけた…

「あの……」

冷たい顔がすぐ近くで振り返る…その顔が美し過ぎて中々心臓に悪い

「ん?」

「あ、あの…なぜ私はここに連れてこられたんでしょうか…この部屋は一体…?」

疑問に思ったことの一部を早口で言うと辻堂さんの眉が跳ねた

(あれ?怒った?)

「…彼女とのやり取りを全部聞いていたわけではなかったのか?」

「彼女?あの美女さんですか?いいえ?私はバチン!と言う音で気づいたので…」

その前にも二人は何かやりとりしていたのだろうか

「そうか…それはすまない、説明不足だったな」

辻堂さんが頭を下げた

「いえ、そんな…それで…一体?」

「手っ取り早く言うと…君を捕らえさせてもらう」

怖いことを淡々とした口調と表情で言われて…すくんでしまう

「捕らえる?つ、捕まるんですか私!」

すると辻堂さんは目を意地悪そうに細めた

「飼う……とも違うんだが、ここに住んで貰うし、この家は好き使っていいから同居とでも言うか……ただし…」

「た、ただし?」

そこで言葉を切った辻堂さんは唇を綺麗に片側だけ引き上げ……その妖しい美しさに身震いしてしまう

「君のこの家の中以外の行動には自由はない」

「自由が、ない…?」

囚われの身になると言うこと?

「そう。君はすぐにでも住む家が欲しい、オレは今すぐに君が必要…利害は一致するだろう?」

「……はい、それはそうですね…」

何となく丸め込まれたような気がするが、確かに住めるなら有り難いので頷いた


するとしゅるりと流れるような手つきで辻堂さんがネクタイを引き抜いてこちらに視線を流して一歩、また一歩と近付いてきた

「なら……条件は飲んで貰う、いいな?」

「あ、あ…の…」

辻堂さんの身体がすぐ傍まできて、私は身を硬くした

(ひょえー!な、な、何を?まさかカラダ目当て?!)

緊張に耐えきれずに目を瞑ると……

フハッと吹き出す声がした

「何を勘違いしている……手なんて出さない、ただこれから君はオレの婚約者になるんだ…まぁだから接触には慣れておかないとな?よろしく……那寿奈…」

(こ、こ、婚約者ー??)








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