この手だけは、ぜったい離さない
見た目が変わっただけならともかく、あのころの優しかった洋くんはどこに行っちゃったの?
6年前は私と食べたいおやつが被ってしまったときに『食べていいよ』って、好きなものでも譲ってくれてたのに。
ムリヤリ取るような子じゃなかった。
もしかして洋くんはヤンキー仲間と過ごしていくうちに、そんな優しい心を忘れてしまったの?
だったら私が思いださせてあげなきゃ!
と、なんだか変なスイッチが入ってしまった私は。
『学校前』でぞくぞくと降りていく生徒にまざり、校門に向かって歩いていく洋くんのあとを追いかけた。
「よーうーくんっ!」
みっちゃんの「ちょっとあかり!」という呼び止める声にも走る足を止めなかった私は、すぐに洋くんに追いついてその背中を叩いた。
「わぁびっくりした‼……って、なんだよあかりかよぉ…」
「うんっ、おはよう洋くんっ♪」
洋くんは私が笑いかけるとすぐに「おはよう」って笑いかえしてくれた。
その隣の荒井くんはというと、獲物を狙うトラのような鋭い目つきが怖い……。