同僚は副社長様
『……あ』
振り向いた私と目が合った瞬間、遅れて入って来た男性の目が大きく開かれる。
誰だろう。私のこと、知ってるのかな。
明らかに初対面ではないような反応をされて戸惑う私を救うかのように、男性陣が彼の存在に気づいて食らいついた。
『友永!おっせーよ!』
…ともなが?
幹事役の男性がこっちこっちと彼を誘導し、丁寧に彼を皆に紹介する。
『えっと、我が社の営業部エース、友永 響です!ホラッ、一言言えよ!』
幹事役の彼はもう酔いが回っているのか、友永と呼ばれた男の肩を力のままにバシバシ叩いている。
『…遅れてすいません、よろしく。』
営業らしくもない飾り気のない一言ながらも、ルックスは男性陣の中でピカイチなその男は、一気に女性陣の注目の的となっていった。
…友永、響……聞いたことがあるような、ないような。
こういっちゃ失礼だが、どこにでもあるような名前だ。キラキラネームでもないし、ダサい名前でもない。これといった特徴のない名前。
あの人の知っている人が私に似ているとか?
さっきの反応がしっくりこないけれど、もう今日はご飯を食べて帰ろうと気を取り直した私は、目の前の料理に集中した。