同僚は副社長様



前代未聞の甘い昼休みを過ごして5時間後


「美都、支度は整った?」

「うん、大丈夫」


仕事を終え、これから夕食を作りに、古川くんの家に向かうところだ。

今日一日酷使したPCの電源を落とし、今日もお疲れ様、と心の中で思う。

帰る支度を終えて、扉の前で私を待ってくれている古川くんの元へ急ぐと、ふわりとにこやかに微笑まれた。

ドキンッ

今日ずっと、オフの時の古川くんは私に微笑むとき、糖度が増しているのはきっと気のせいじゃない。

どうして、そんな風に笑うの?

聞きたいけど、聞けない。そんなもどかしさを感じつつも、私の心はしっかりと彼の微笑みに反応して高鳴っている。

これが惚れた弱みってやつよね。

そんなことを、これまで古川くんと時間を共にして何度思ったことか。

そして、これから何度そんな風に思うのだろう。

この調子じゃ、一日一回は思っていそうで、静かに心が震えた。

このままじゃ、確実に私は古川くんに骨抜きにされてしまうんじゃない?


「俺の家に向かう前に、近くの食品量販店で食材を調達しよう。俺の家にはあいにく食品と言えるものがなくてね」

「もちろん」


今日の夕飯は何にしようか、なんて話しながら、エレベーターに乗り込み、彼の車が留めてある駐車場に向かった。


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