さすれば恋となる
映画を見ないと感想が緋衣呂君に言えない。
でも、耳に残る緋衣呂君の言葉……
“……お仕置き”
勝手にドキドキしながら前を見るつもりでいるが、つい緋衣呂君の横顔をチラリと見てしまう。
そしてクライマックスに近くなり恋人たちの愛の告白が……
ん? ……えっ!!
ちょっと、見間違い?
チラリと緋衣呂君を見ると、なんと信じられない光景を見てしまった。
感動シーンに涙する緋衣呂君。
しかもハンカチを手に握っている。
確かに感動……
涙を啜る人もいるがほぼ女性だ。
まさか緋衣呂君が泣くなんて……
ちょっとびっくりで、ちょっと引く?
エンドロールの最中、私は緋衣呂君を凝視していた。
視線を感じたのか緋衣呂君が私を見る。
ヤバ……
「 詩乃 」
グンッと一気に間を積める緋衣呂君の顔が近すぎて……
「 何見てるの 」
怒られる、頭に過った時 照明がついた。
近すぎる緋衣呂君の目から逃れるように仰け反った。