さすれば恋となる
「 おいっ 」
緋衣呂君の手に頭を支えられ、その反射神経が私の隣に座る他人様を救った。
危うく頭をぶつけてしまうところだった。
「 詩乃、気をつけろ 」
「 すみません… 」
あ~ 何してるんだか……
緋衣呂君と映画館から出てフードコートでランチタイム。
二人でオムライスセットを食べる。
「 詩乃、おいしい?」
「 うん、おいしいよ 」
「 食べたらどうする?何か見たいのある?」
「 ん~ 靴が見たいかな 」
「 じゃ 食べたら行こ 」
ほら、やっぱり優しい。
私の行きたいとこ聞いてくれて優先してくれるんだよ、優しいよ。
なのに……
なんで手はダメ?
彼といればどうしても周りにいるカップルの手繋ぎが気になり羨ましい。
どうしても繋ぎたい私は自ら繋ぎに行こうと決めた。
どんなに交わされても、繋ぐのだ。