さすれば恋となる

緋衣呂君の行動は私にはちょっと掴めない。

いつもは優しい口調でいて、時々 意地悪。

恋愛映画で涙する緋衣呂がいれば、極端に手を繋ぐのを拒否したりする。



「 緋衣呂君、告白されて断ったんだよね……
どうして私を選んだの?」

「 なんで聞くの?」

「 え、だって知りたいなぁと思って 」

「 詩乃だから 」



私だから?

私に特別な何かがあるの?

こんな平凡な私なのに……



「 相瀬は気にしなくていいよ、もう諦めるだろうから 」

「 え、諦める?」

「 詩乃と付き合ってから毎日普通に告白してくるから 」



はー!!

フラれてるのに毎日告白してたの?

ちょっと呆れる……

そんなに緋衣呂君がいいんだ……



なぜ実理さんが諦めるか聞いてみると、簡単な事だった。

手を繋がない緋衣呂君が私の手を繋いだからという理由。

実理さんには緋衣呂君が私と付き合うのが本気とは思えなかったのだろう。

心外だが、緋衣呂君の手は私の手を握っている。

この事実が緋衣呂君の気持ちなのだ。






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