さすれば恋となる

緋衣呂君の運命にある短命。

未来はわからない、だからこそ夢を見る。

風磨君が言ってた……


双子だからと言って、二人がいなくなるわけじゃないと。

でも……

30歳まで生きた命はないと、聞いた。



だから、思った。



一ミリだって、緋衣呂君のそばを離れない。

今から、一ミリだって気持ちを離さない。



「 緋衣呂の願い、知ってる?」



風磨君がそう言って、話そうとしたのを止めて昼休みが終わる。

私にとって、難題となった。


緋衣呂君の願い……


それは、何?


放課後、緋衣呂君が迎えに教室まで来てくれた。



「 詩乃 」



緋衣呂君の声が好き。



「 緋衣呂君 」



校舎を出ると、私は緋衣呂君の手を繋ごうと頑張ってみた。

でも……



「 詩乃、やめないと“首”だけじゃ済まさないよ 」

「 え…… 」



凄んで言う怖い緋衣呂君に、私はもうドキドキが加速してパンクしそう。

甦る朝の図書室でのキス……

たまらず熱が顔を覆う。


首だけじゃ済まさないなら、それも覚悟してます。


私も緋衣呂君をドキドキさせたい。





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