【短】君のこと、離してなんてあげない。
「……オーナー」
「やっぱりケーキ欲しくなった?」
そうじゃなくて。
教えてくださいよ。
「オーナーは、なにが、欲しいんですか」
「聞いたらきっとビックリするよ」
「ビックリ……ですか?」
「すっごく欲しい。手に入れようと思えばなんだってできそう。でもね。自分のものにするのはちょっと怖い」
あなたにも怖いことがあるんですね。
あたしには無敵に見えるのに。
「って……ちょ、なにしてるんですか?」
オーナーが表の看板の電気を消してしまった。
「閉店」
「えぇ!?」
「もう誰も来ないよきっと」
「24時間営業なのに……」
「ここ、たたもうかな」
「……えっ」
「昔はよかった。老若男女来てくれてそれなりに儲かってたから」
たしかに、数年前にお客として来た頃はこんなに暇そうでもなかった。
「近くにライバル店がどんどん増えて。一昨年大型ショッピングモールができちゃってからは、どこも全然駄目だね。共倒れ。なにか違うもの作った方が建設的かなって思ってる。駐車場とか」
「…………」
「ごめんね。せっかく真面目に勤めてきてくれたのに」