【短】君のこと、離してなんてあげない。
ここがなくなると思うと無性に寂しくなった。
「あれだったら俺から新しいバイト先、紹介しようか」
「……え?」
「もちろん好きなとこで働けるのが一番だと思うけど。困ったときは頼ってくれていいよ」
ここしかないと思っていたが。
まだオーナーとの接点は消えないの……?
「送るよ」
「そんなの、いいですよ。すぐそこですから」
あれ。
いつもこんなに近くに寄ってこないのに。
すぐとなりに、オーナーがいる。
こんな距離感になったのは初めて。
肩が、触れてしまいそう……。
気にしすぎかな、あたし。
「雪華ちゃんってさ」
「なんです?」
「俺が好きなの?」
にんまり見下ろしてくる。
――確信した。
このひと、わかって聞いてる。
あたしの心を、見透かしてる。