【短】君のこと、離してなんてあげない。


言った。

言ってしまった。


言えたはいいが、恥ずかしすぎてどうしていいかわからない。

もちろん顔なんて見れない。


すると、オーナーは

大きな手であたしの頭を撫でてきた。


こんなのずるい。

ハッキリ聞かせてくださいよ。


なに、考えてるんですか。


『いいよ』って言って欲しいです。


「サンタ、信じた?」

「……いいえ」

「頑固だね」

「ちゃんと、もらうまで信じられません」


一瞬の間があく。


「送ってくよ」


――!


「夜道をひとりで帰るのは、危ないからね」


どうして?


引き止めたかと思うと、突き放してくる。


「なんでですか」


オーナーの目を見ると、まっすぐにあたしを見つめている。


あなたは少しも動揺していないんですね。

あたしは心がこんなに揺らいでいるのに。


「『帰らないで』って言ったじゃないですか」

「……ほんとにいいの? 俺で」


“俺で”じゃないです。


“あなたが”いいんです。


「ついてきたら、帰さないよ?」


そんなこと聞かないでください。


「引き返せなくしてるの、オーナーですからね」


もう、こんなにあたしの中にいるんですよ。


「うん。知ってる」

「……!」


歪んで笑うオーナーを見て、ゾクリとしてしまう。

だけど怖くない。

やっぱりこの人は魅力的だ。


「イヤって言っても。泣いても。帰りたいって叫んでも、離してなんてあげない」

「最低ですか」

「そんな最低なヤツ好きになったのは誰かな」

「っ、」

「幸せにすればなんの問題もないけど」

「……幸せにしてくれるんですか」

「約束しよう」

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