Dear Hero
一人の男が、紺野の耳元に触れる。
その途端、『これに触らないで!』と叫ぶ紺野の声とパシンと乾いた音が空に響いた。
触れようとした男の腕を、振り払ったように見える。
『……っ痛ってぇ…なにすんだよテメェ!』
振り払われた男が大声を上げ、紺野に詰め寄る。
紺野は鞄を地面に下ろし、肩幅に足を開いて構えをとる。
一歩下がった男が、助走をつけて紺野に飛び掛かる……
『…!?なんだよテメェは』
『……俺の、連れですけど…なんか用…すか…?』
間に合った。
振り上げられた男の右手を左腕で受けると、右腕で紺野を引き寄せ俺の後ろへ匿う。
全速力で走ってきたから、息は上がっていてなかなかうまく喋れない。
『ダイ…くん…?』
『用も何もそいつがいきなり手ェ上げてきたんだよ!』
『手ぇ上げられるような事、してたのはそっち…すよね』
『…っるせぇな!ジャマなんだよクソガキ!』
空いている左手が俺の腹目がけて飛んでくるのが見え、紺野を掴んでいた右手を離して防御する。
二発目も受け止められた事に一瞬躊躇したようだったが、すぐに『このクソが!!』と何度もパンチを食らわせてくる。
こんなパンチ、他の部員の突きに比べたらスローモーションのようだ。
むしろ、隙をついて一発入れたいくらいだけど、師匠との約束が頭をよぎる。
“空手は人を倒す技であってはならない。決して一般人に手を出すな”
空手はケンカに使うものじゃない。そう教え込まれてきたから、逆にケンカの仕方なんか知らなくて。
防戦一方になってしまう。
パンチ野郎が一人でがんばるも、俺にすべて受けられてしまい、周りの男たちは冷やかし始めた。
一人だけの攻撃なら、受け切れるけど全員で来られたら攻撃もできない俺たちは途端に分が悪くなる。
『…紺野、鞄持って』
はっと気づいたように自分の鞄を拾い上げる。
逃げるしかない、という意図が伝わったようだ。
逃げるタイミングを伺っていたその時、
その途端、『これに触らないで!』と叫ぶ紺野の声とパシンと乾いた音が空に響いた。
触れようとした男の腕を、振り払ったように見える。
『……っ痛ってぇ…なにすんだよテメェ!』
振り払われた男が大声を上げ、紺野に詰め寄る。
紺野は鞄を地面に下ろし、肩幅に足を開いて構えをとる。
一歩下がった男が、助走をつけて紺野に飛び掛かる……
『…!?なんだよテメェは』
『……俺の、連れですけど…なんか用…すか…?』
間に合った。
振り上げられた男の右手を左腕で受けると、右腕で紺野を引き寄せ俺の後ろへ匿う。
全速力で走ってきたから、息は上がっていてなかなかうまく喋れない。
『ダイ…くん…?』
『用も何もそいつがいきなり手ェ上げてきたんだよ!』
『手ぇ上げられるような事、してたのはそっち…すよね』
『…っるせぇな!ジャマなんだよクソガキ!』
空いている左手が俺の腹目がけて飛んでくるのが見え、紺野を掴んでいた右手を離して防御する。
二発目も受け止められた事に一瞬躊躇したようだったが、すぐに『このクソが!!』と何度もパンチを食らわせてくる。
こんなパンチ、他の部員の突きに比べたらスローモーションのようだ。
むしろ、隙をついて一発入れたいくらいだけど、師匠との約束が頭をよぎる。
“空手は人を倒す技であってはならない。決して一般人に手を出すな”
空手はケンカに使うものじゃない。そう教え込まれてきたから、逆にケンカの仕方なんか知らなくて。
防戦一方になってしまう。
パンチ野郎が一人でがんばるも、俺にすべて受けられてしまい、周りの男たちは冷やかし始めた。
一人だけの攻撃なら、受け切れるけど全員で来られたら攻撃もできない俺たちは途端に分が悪くなる。
『…紺野、鞄持って』
はっと気づいたように自分の鞄を拾い上げる。
逃げるしかない、という意図が伝わったようだ。
逃げるタイミングを伺っていたその時、