Dear Hero
『……っ!!』


後頭部に走った衝撃の後に、鈍い痛みを感じた。
一瞬、目の前がチカチカとして前によろける。

『やだ…!ダイくん…っ!!』

紺野の悲痛な叫びがうっすらと聞こえる。
後ろを振り向くと、男の一人が重そうな鞄をぶら下げてニヤニヤしていた。
よろめいた俺の鳩尾に向けて、パンチがくる。
体だって鍛えていたとはいえ、油断していたところに攻撃されたらそりゃ入るよ。
息ができなくなって咳き込み、思わず膝をつく。


あぁこれ、やばいなぁなんて、どこか呑気に思っていた気がする。


俺の膝がついたのを合図としたように、一気にパンチや蹴りが入ってくる。
とてもじゃないけど、受ける事なんかできない。
でも、なんとかして紺野だけでも逃がさなきゃ。



『紺野!逃げろ!』
『で、でも…っ』

鞄を開けて携帯を取り出す紺野。
通報しようとしているのだろうか。
そんなのはいいから早くこの場から逃げてほしいのに。


『おっと…通報はやめろよな』

一人の男が紺野に近づく。
慌ててそいつの足にしがみついて動きを止める。


『いいから逃げろ!こん…っ』
『…っテメェこのクソガキ!何してんだゴルァ!』

誰かの拳が顔に入って、呼びかけが遮られた。
口の中に鉄の味がじわっと広がる。
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