Dear Hero
「私、おかしいんです。他の男の人は怖いと思ってしまうのに、澤北くんは嫌だと思うどころか、むしろ…もっと触れてほしい…と思ってしまって…。おかしいですよね。そんな事考えてしまうなんて。それで…その…どんな顔して澤北くんにお会いしていいのかわからなくて、私もなかなかお声掛けする事ができなくて」
「……っ」
「キス…されるかもって思った時、期待してしまったんです。なのに、できなかったんだとわかったら淋しくて。そんな事思ってしまう自分がすごく恥ずかしくて…こんな卑しい人間だったんだと思ったら、自分自身が嫌になってしまったんです…」
そんなん言われたら、期待するじゃん。
俺、単純だから、都合のいいように解釈しちゃうじゃん。
水嶋が触れていた右手を慌てて引っ込める。
そのまま引き寄せてしまいそうだったから。
手を振りほどかれた事で、ビクリとする水嶋。
違う、そうじゃないんだよ…。
「…っごめんなさ」
「違うから!」
「……?」
「今、手を離したのは俺が嫌だったからとか、そんなんじゃないからな」
お願いだから、そんな不安そうな顔をしないでくれよ。
胸が痛くなる。
大きく息を吸い込んで、思いっきり吐く。
心を落ち着かせるんだ。
「……お前、危機感なさすぎなんだよ」
「え…?」
「そうやって、簡単に男に触れさせるなよ。勘違いするから」
「勘違い…?」
昨日の紺野との会話を思い出した。
あいつが言っていた事も、こういう意味だったのかな。
「あのね、男は獣なの。そんな事されたらお前、何されても文句言えないよ」
「これは…澤北くんだから…」
「俺だって!男なんだよ!女の子に触れられたらドキドキするし、風呂上りとか無防備な格好で目の前にいられたらそうゆう気分にもなるし、お前が隙見せる度に、押し倒しそうになるの我慢してんだよ」
「………」
「俺は、お前を傷つけたくないから離れた。…自分勝手で悪いけど、これがお前と距離置いてた理由」
「………」
「お前も、後先考えずにさっきみたいな事すんなよ。嫌な事されたくなかったら」
さすがにここまで言ったら嫌になるかな。
気持ちを伝えるどころか、気持ちが離れてしまうような事言ってるんじゃないのかな、俺…。
「……だとしても、私が澤北くんの事を嫌になるなんて事はありません」
「だから……」
「だって澤北くんは!私を救ってくれたから!」
「……っ」
「キス…されるかもって思った時、期待してしまったんです。なのに、できなかったんだとわかったら淋しくて。そんな事思ってしまう自分がすごく恥ずかしくて…こんな卑しい人間だったんだと思ったら、自分自身が嫌になってしまったんです…」
そんなん言われたら、期待するじゃん。
俺、単純だから、都合のいいように解釈しちゃうじゃん。
水嶋が触れていた右手を慌てて引っ込める。
そのまま引き寄せてしまいそうだったから。
手を振りほどかれた事で、ビクリとする水嶋。
違う、そうじゃないんだよ…。
「…っごめんなさ」
「違うから!」
「……?」
「今、手を離したのは俺が嫌だったからとか、そんなんじゃないからな」
お願いだから、そんな不安そうな顔をしないでくれよ。
胸が痛くなる。
大きく息を吸い込んで、思いっきり吐く。
心を落ち着かせるんだ。
「……お前、危機感なさすぎなんだよ」
「え…?」
「そうやって、簡単に男に触れさせるなよ。勘違いするから」
「勘違い…?」
昨日の紺野との会話を思い出した。
あいつが言っていた事も、こういう意味だったのかな。
「あのね、男は獣なの。そんな事されたらお前、何されても文句言えないよ」
「これは…澤北くんだから…」
「俺だって!男なんだよ!女の子に触れられたらドキドキするし、風呂上りとか無防備な格好で目の前にいられたらそうゆう気分にもなるし、お前が隙見せる度に、押し倒しそうになるの我慢してんだよ」
「………」
「俺は、お前を傷つけたくないから離れた。…自分勝手で悪いけど、これがお前と距離置いてた理由」
「………」
「お前も、後先考えずにさっきみたいな事すんなよ。嫌な事されたくなかったら」
さすがにここまで言ったら嫌になるかな。
気持ちを伝えるどころか、気持ちが離れてしまうような事言ってるんじゃないのかな、俺…。
「……だとしても、私が澤北くんの事を嫌になるなんて事はありません」
「だから……」
「だって澤北くんは!私を救ってくれたから!」