Dear Hero
「お、おじさんは…なんで依は残るって教えてくれなかったんすか」

慌てて話題を変える。

「君に話した後、そういえば依のパスポートがなかった事に気づいてね」
「……」
「急きょ予定を変更して、まず君の親御さんの了承を得てから伝えようと思っていたんだがね」
「忘れてたんだ……」
「いやぁ、申し訳ないね」

「依の荷物も大護くんのうちに置いたままだろう?」なんて言われて、確かに、と納得してしまった。
あっはっはと楽しそうに笑うおじさんの姿に、本当はわざとだったんじゃないかなんて思ってしまう。


「……だけどね、君の熱い想いを聞いたから、ここに依を残していく決断ができたんだ」
「……」
「私は、依の事を何もわかっていなかった」
「……」
「君がいれば、安心だよ」


文句を言いたくなるのを堪えていたけど、「何より、ここに残る事を選んだのは依だからね」なんて言われたら、もう何も言えなかった。


「なんせプロポーズまでしてくれたんだ」
「プロ……っ!いや…その、そういうわけじゃ…」
「違うのか?依の気持ちを弄んでるって事か?」
「ひっ樹さん…っ。いや、違わないけど、そうじゃなくて…」
「未成年のうちは俺が許さんぞ……」
「いや、俺大学行きたいし、そんなすぐにはちょっと心の準備が…」
「なんだとコラ、依はいらないってのか?」
「ちょ…待って、そっち!?なんでそうなる…」
「やめてよ樹くん!そういうの恥ずかしいから…!」
「恥ずかしいって、おま…俺はだな、保護者として…」
「うるさい保護者は嫌われるって飛鳥ちゃんが言ってたもん」
「嫌わ………っおい大護!お前、依泣かせたら締め上げるからな…!」
「呼び捨て!?前科アリだし!」
「樹くんってば…!」
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