Dear Hero
帰りは樹さんが車で送ってくれた。

「……義兄さんはああ言ってたけど、俺は耐性ないから極力俺の前ではあんまああいう事しないでくれるとありがたい…」
「…以後、気をつけます…」

絞り出すような樹さんの声に寿命が5年くらい縮んでる俺の隣で、「大護くんの寝ぐせ…かわいい」なんて俺の髪に触る依。
「こら大護!いちゃつくなつってんだろ!絞めるぞ!?」とバッグミラー越しに殺し屋みたいな目線を送る樹さんに、「大護くんにそんな事言わないで!」なんて依に怒られてしょげてる姿見たら、樹さんも依には弱いんだなぁなんて思ってしまった。




家に着いて、玄関に入るのを躊躇う依を引っ張り押し込むと、家で待っていた母さんに「頑張ったね。よく帰ってきたね、おかえり」と強く抱き締められて、また泣いていた。
帰ってきた姉ちゃんになかなか離してもらえず、一緒に風呂に入っていたというのは…別に羨ましくなんかはない。断じてない。
普段ドライな颯希までもが事あるごとに「依さん、依さん」と引っ付いて回っていたから、素直じゃないなと微笑ましかった。
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