Dear Hero
***


「お邪魔…していいですか?」

夕食後、パジャマ姿で俺の部屋にやってくるのは依。

「お前も懲りないな……襲うぞ」
「か…彼女、ですから…。問題ないかと」
「ぶはっ。言うようになったじゃん」

「ベッドはダメだからな」とだけ忠告して招き入れると、嬉しそうについてくる。



「久しぶりの学校、疲れただろ」

依がいない間にまた散らかすようになった部屋を片付けて回る。

「そうですね…でも、皆さんがあんなに迎え入れてくださって…嬉しさの方が大きかったです」
「な、お前一人じゃないだろ?」
「ふふっ。幸せです」

手伝おうと服の山に手をかけようとするのを、慌てて制止した。
その下には片付いていないパンツが埋もれてるんだ。


「…俺も、教室にお前がいると嬉しかったよ」


依に背を向けて、床に落ちているTシャツを拾おうとすると、背中に小さな衝撃。
俺の腹に回された手を見て、依が後ろから抱きついたのだとわかった。
背中に感じる久しぶりの柔らかさに、むらっとくる。


「……こら。そんなくっつかない」
「………」
「食っちまうぞ」
「………」
「……お前、家の中なら誰かに邪魔されるから俺が手ぇ出さないとでも思ってんだろ」
「………」



腹の前で重なる腕を解くと振り返り、依の後頭部に手を添え口付けた。

「……煽った依が悪い」

キスをいくつも重ねると、だんだんと甘い声が漏れてくる。
離れようともがくも、頭を押さえつけているから逃げられない。
唇が離れる度に、苦しそうに吐き出される息がそそる。
柔らかな唇を、食むように何度も味わった。


「………」

俺のシャツを握る手の力が弱まりかけたところで、体を離した。
とろんとしたまま、「?」の顔をする依。
ドアをじっと睨む俺。
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