Dear Hero
「兄ちゃん!タオル貸して」

程なくして突然開くドアと、顔を覗かせる颯希。

「……それ、俺じゃなくてもいいよね?あと、ノックもせずに入るなっていつも言ってるよな。ついでに言うと、取り込んでませんから」
「………ちっ」
「ちっじゃねぇよ!舌打ち聞こえてんぞ!俺のプライバシーはないのか!」
「…つまんないの」
「つまんなくない!ほんとまじやめて!心臓に悪いから!」

不満そうな顔をして颯希はドアを閉めていく。


「……俺もね、少しは学習するんですよ」


ドヤとばかりにチラ見すると、しゅんとする依。
…そういう顔に俺が弱い事、どうせわかっててやってんだろ。

「あのね、その気になった後の我慢てつらいの。だから依もむやみに煽んないでください」

小さく頭突きをするように額を合わせると、こくりと頷く。
「よろしい」なんて上から目線で言っちゃって、もう一度小さく口付ける。



「………」


振り返ると、ドアを少しだけ開けて覗く颯希。と姉ちゃん。
増えてるし。


「入るだけじゃねぇ!覗くな!ほんと勘弁して!!」


二人を追い払うようにドアを閉める。
……これはもう、父さんに頼んで鍵つけてもらおう。
父さんならきっとわかってくれるはず。
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